学名について

 学名とは?

 学名というのは、世界のどこでも通用する全世界共通の名前のことですから、日本語ではないことは確かです。
 生物の観察や研究で有名なのは、スウェーデンのカール・フォン・リンネという人です。
 (Carl von Linne ; vonというのは「〜家の」という意味です)

 それまで国や地方によって名前がまちまちだったのをラテン語を用いた二命名法という表示法で統一しました。日本では、ちょうど田沼意次の江戸中期のころです。意次の方が11歳年下ですが。

 二命名法とは?

 まず、言語はラテン語です。初めに属名、次に種小名。この二つで表します。属名というのは、なかま分けするときの、互いに似かよった小さいグループのことをいいます。次の種小名は、その植物の特徴を表すことばになります。

 たとえば、タンポポの場合、いろいろな種類がありますが、市街地に多いセイヨウタンポポはどのようにいうのでしょうか。

 タンポポのグループ名は Taraxacum タラクサクム 苦いもの。これが属名です。そして、次にくることばが officinale オフフィキナーレ 薬用にする。これが種小名です。だから、セイヨウタンポポの種名は、「タラクサクム オフフィキナーレ 薬用にする苦いもの」というわけです。

 簡単にいうと、属名というのは家族のようなもので、家族ならたがいに似ています。サザエさんの一家なら、「イソノ」とか「フグタ」というのが属名になります。種小名を「くりくり坊主の」とすれば、「くりくり坊主のイソノさん」ということで、種名は「カツオ君」であることがわかります。種小名を「おかっぱ頭の」とすれば、種名は「ワカメちゃん」であることがわかります。

 種小名が同じ「おかっぱ頭の」でも、属名が「サクラ」になると、「おかっぱ頭のサクラさん」で、ちびまる子ちゃんということになります。二命名法とはこのようなものです。

 長田武正博士の著書「検索入門 野草図鑑」これは私のお気に入りの図鑑なのですが、これに、とてもわかりやすい説明がのっています。ラテン語の読み方まで解説してありますので、ぜひご一読を。8冊組の第1巻に掲載されています。 

 標準和名とは?

 二命名法は、日本では一般的ではありません。ラテン語の二命名法を日本語に訳しても、日本人にはしっくりきません。そこで、日本語で表すことにします。しかし、地方によって同じ植物でも呼び名がいろいろあります。そこで、方言を標準語にしたように、植物名を統一したものが標準和名です。

 セイヨウタンポポをAPG分類では、中核真双子葉植物、キキョウ群、キク目、キク科、タンポポ属、セイヨウタンポポになりますが、ふつうは、科名と種名で充分です。ちなみに、科名を英語で family といいます。キク科のセイヨウタンポポ。科名がなくても通じますね。

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