第32回  イチゴツナギ連 カラスムギ亜連
 
2枚の大きな包穎が特徴
  
 カラスムギ連は円すい花序で、見かけ上最も大きな特徴は、2枚の大きな包穎に小花が包まれていることです。
 イチゴツナギ亜科の中では小花の数が少なく、1〜3個ほどです。
 
 クサヨシ
 学名  Phalaris arundinacea L.   イネ科 イチゴツナギ亜科 イチゴツナギ連 カラスムギ亜連 クサヨシ属
 クサヨシも、ミノボロと同じように、はじめは穂状花序のように見えます。このときは、オスの時期でおしべが熟します。
 その後枝が開いて、めしべが熟すようになります。
 小穂は、3個の小花をもちますが、そのうち2個は長毛を伴ったりん片状に退化しています。
 したがって、見かけ上は1小花になります。
 カラスムギ連の中でも進化は進んでいます。
 小穂の中の小花の数が、3個からしだいに数を減らし、ついには1個に減少してしまうのです。
  
 カラスムギ
 学名  Avena fatua L.  イネ科 イチゴツナギ亜科 イチゴツナギ連 カラスムギ亜連 カラスムギ属
 高さ30cm〜1mの中型円すい花序です。
 カラスムギ属は小穂が非常に大きく、下を向いて垂れるのですぐにわかります。
 とくに、イチゴツナギ科の中では、ずばぬけて花が大きいので、観察するのにむいています。
 カラスムギという名前のいわれは、カラスが食べる麦ということらしいのですが、カラスがほんとうに食べるかどうかはわかりません。大きいということなのでしょう。
 
  ふつう3個の小花をもちます。
 大きな包穎にのぎはありません。
 第1小花と第2小花の護穎には大きなのぎがあります。
 第3小花ののぎは、写真のとおり小さいです。小花の大きさも、他の2つに比べると小さく、結実しません。
 
 第1包穎と第2包穎の大きさは、ほぼ同じですが、よく見ると第2包穎のほうがいくぶん大きいようです。
 のぎはなく、7〜11の脈があります。
 単子葉植物は平行脈ですから、穎の脈も平行です。
 脈どうしの間はあみだくじのような連結脈があります。
 
 小穂から大きな第1小花を取りだしてみます。
 基盤からは白い毛が束になって生えています。
 外側の穎は護穎です。中央からは太いのぎが出ています。
 こののぎ、途中からよじれています。
 
 護穎の先端部は、2つに裂けています。
 
 護穎のみどりいろ部分のところに気孔を見つけることができます。
 
 のぎをアップしてみます。
 無数のトゲでおおわれています。
 
 護穎を内側から観察してみます。
 内穎でふたをされています。
 
 内穎を開いてみます。
 中には、おしべやめしべが入っています。
 
 護穎と内穎を取りのぞいてみます。
 開花前の(やく)が3本見られます。
 基盤からは、長い白毛がたくさん生えています。

  
 
 白毛をアップしてみました。
 白く見えても、じつは、無色透明なのです。
 
 咲いている花を観察すると、空っぽの葯室がめだつばかりです。
 イチゴツナギ科の観察は、開花前の小花が適しています。花粉のつまったきれいな葯です。
 
 葯の基部をアップしてみます。
 花糸(かし)が切れてしまいましたが、葯隔(やくかく)につながっているようすがよくわかります。
 
 観察しているうちに、葯室が開きかけたものが見つかりました。
 葯隔を背中合わせにして両側が開きます。
 中から細かい花粉が出てきて風に運ばれます。
 イネ科は風媒花なのです。
 
 おしべを取りのぞくと、めしべがはっきりと観察されます。
 白毛の外側には、りん()が見つかりました。
 りん皮は小さくて取れやすいので、撮影できたことは幸運でした。
 りん皮は花被が変化したものです。
 イチゴツナギ科の花被は退化し、かろうじて、りん片状のものが2枚残りました。それがりん皮なのです。
 
 白毛の内側には子房があります。
 子房からは2本の花柱(かちゅう)が出ています。
 花柱の先のほうは、房状になり、花粉をとらえやすくしています。これが柱頭と呼ばれるところです。 
 
カラスムギ属の葉舌は、はっきりしています。 

 オートムギ
 カラスムギの栽培種にオート麦というのがあります。
 家畜の飼料にしたり、人間の食用にするので、欧米の小説などにはよく出てくるものです。
 のぎがほとんどなく、果実ができても稈からも脱落しないので、取り入れには都合がよいそうです。
 オート麦は、エンバクとかマカラスムギとも呼ばれており、最近では、健康食シリアルとして人気があります。
 
 カニツリグサ
 学名  Trisetum bifidum (Thunb.) Ohwi   イチゴツナギ亜科 イチゴツナギ連 カラスムギ亜連 カニツリグサ属
 砂の蟹穴にこの草の穂を入れ蟹を釣るという子どもの遊びからついた名前だと思われます。
 シロっぽいヒゲのようなものは(のぎ)です。
 
 カニツリグサの最大の特徴は、この芒にあります。
 はじめ真っ直ぐだった(のぎ)がほぼ直角に曲がるのです。
 

 

  

inserted by FC2 system