第43回  キビ亜科 D Panicoideae D
 

トダシバ連 Arundinelleae

トダシバ属 Arundinella

 トダシバ
 学名  Arundinella hirta (Thunb.) C. Tanaka   イネ科 キビ亜科 トダシバ連 キビ属
  トダシバは、りん片におおわれた地下茎をもちます。
 背の高さは 50〜120cmくらいで、10〜40cmの円すい花序を出します。
 トダシバのいわれは、むかしの武蔵の国(東京都に接した埼玉県戸田町)の戸田原というところに見られたからのようです。
 
 穂の色が暗いむらさき色を帯びており、遠くから見ると茶色に見えます。
 
  トダシバは、りん片におおわれた地下茎をもちます。
 背の高さは 50〜120cmくらいで、10〜40cmの円すい花序を出します。
 
 小穂は、2枚の包穎に包まれているので1小花に見えますが、中には2つの小花が入っています。
 2枚の包穎が開くと、それぞれの包穎に小花が密着します。
 護穎は包穎の内側になり、包穎をはがさないと観察できません。
 
 護穎(ごえい)に短いのぎをもつものや全身に毛を生やすものなど変異が多いので判断がむずかしいかもしれません。
 写真のものはのぎをもたず毛も生えていませんから、ただのトダシバです。
 
 2つの小花のうち1つは雄性花(ゆうせいか)で、もう1つは柱頭が顔を出す両性花です。

 


ウシクサ連 @ Andropogoneae @

 

 長田武正著の増補日本イネ科植物図譜では、この連をヒメアブラススキ連としていますが、Andropogonはメリケンカルカヤを指しています。しかしWikipediaではウシクサ連になっているのでここではウシクサ連とします。
 この連の植物も、総が長短の柄、または、有柄(ゆうへい)無柄(むへい)からなるペアの小穂(しょうすい)になっています。
 有柄(長いほう)の小穂は雄性か不稔性(ふねんせい)になります。
 不稔性というのは、(はい)(卵細胞)があっても未熟なまま結実(けつじつ)しないということです。
 包穎は、キビ連とは異なった形状をしています。
 柄の短い両性花の護穎は、曲がったのぎをもちます。
 染色体について、キビ連は2n=18 が基本であるのに対して、ウシクサ連は、2n=10 または20 が基本になります。

 

コブナグサ属  Arthraxon

 コブナグサ
 学名  Arthraxon hispidus Mak.  イネ科 キビ亜科 ウシクサ連 コブナグサ属
 ほふく枝を出し発根しながら広がっていきます。
 他のイネ科の葉に比べると極端にみじかく、ササの葉を思わせます。
 小さな(ふな)の形をした葉だから、このような名前がつきました。
 葉の基部は、ハート形で茎を抱いています。
 メヒシバのような花序を出します。
 2つの小穂のうち第1小穂は退化してりん片として残っています。
 小花は2個あります。第1小花は無性護穎が残っています。
 第2花は両性で、膜質で透明な護穎をもち、内穎はないこともあります。
 

ジュズダマ属  Coix

 ジュズダマ
 学名  Coix lachryma-jobi L.  イネ科 キビ亜科 ウシクサ連 ジュズダマ属
 ジュズダマは、水辺に生える大きめのイネ科植物です。
 ハトムギとそっくりで、素人にはなかなか見分けがつきません。だから、ジュズダマでハトムギ茶をつくってもわからないだろうなどと考えるのですが、効能は、ハトムギと比べてあまり変わらないと和漢薬の本で読んだ記憶があります。
 ハトムギの果実をヨクイニンといい、皮ふの病気などに利用されます。
 図鑑によると、ハトムギは、穂が初めからたれているそうです。
 どぶのあたりにはえているジュズダマは、1m前後のものが多いのですが、環境のよいところでは2mくらいになります。葉も、写真でわかるように、とても大きく50cmほどになります。形はササの葉に似ています。

 

  

 葉鞘(ようしょう)の中から何本かの枝を出し、その先に包をつけます。
 ジュズダマの円い部分は、果実ではなく、(ほう)包葉(ほうよう))がつぼ状に変化したものです。それがかたくなって玉になるのです。
 ジュズダマの名前は、仏教で葬式や法事のときに使う数珠の玉からきました。
 昔の子どもは、春はレンゲやシロツメクサ、秋はジュズダマで腕輪にしたり、首かざりにしたりして遊びました。 

 
 雄花(おばな)花柄(かへい)がのび、包から抜け出してぶら下がります。
 イネ科の花はふつうの花とだいぶ異なります。
 
 雌花(めばな)(ほう)の中にあり、めしべの柱頭をのぞかせています。
 
 上の写真では柱頭(ちゅうとう)がはっきりしないので、長くのびているものをみてみます。
 これは、しおれかけている柱頭で、元気がありませんね。
 
 ジュズダマの玉は、とても葉には見えませんが、おしべやめしべだって葉が変化したものですから、見かけだけではわかりません。
 総包(そうほう)(総包葉)は、はじめは緑色ですが、やがて白色や灰色、灰褐色、灰紫色などいろいろな色に変わっていきます。 
 総包の中には、3個のメスの小穂(しょうすい)が入っています。そのうち2個は退化して、結実しません。
 正常な1個の小穂からは、めしべの柱頭(ちゅうとう)が総包の外へ顔を出します。
 (オス)の小穂は、たくさん集まって(そう)になり、総包の外に出てたれ下がります。有柄(ゆうへい)の小穂と無柄(むへい)の小穂がペアになってすき間なくつきます。葉のような包穎(ほうえい)がヨロイのように総をおおっています。
 
 これは(オス)小穂(しょうすい)です。
 2枚の包穎(ほうえい)に包まれています。
 さらに透明な護穎(ごえい)内穎(ないえい)に包まれているのが小花(しょうか)です。
 小穂は、いくつもの小花を2枚の包穎で包みますが、ジュズダマの場合、小穂の中の小花は1個だけです。
 花といっても花のようには見えないですね。
 
 包穎と護穎、内穎を開いてみます。
 赤っぽく見えるのはおしべの葯で、2個の葯室が平行に並んでいます。
 
 茎には、ところどころ節があり、そこから葉が出ます。
 葉の基部は茎を抱いています。その部分を葉鞘といいます。
 鞘はさやという漢字で、刀のさやを表します。
 茎を刀に見立てた葉っぱのさやということです。
 葉鞘から先の部分を葉身といいます。これがいわゆる葉っぱですね。
 
 葉鞘から葉身に変わる部分を拡大してみます。
 イネ科の穂をもつ茎をとくに(かん)といいます。
 中は(から)になります。麦わらと同じですね。ストローのようになっているということ。
 タケ(竹)も広い意味ではイネのなかまだから、茎の中は空になっていますね。(ふし)もちゃんとあります。

 

モロコシ属  Sorghum

 セイバンモロコシ
 学名  Sorghum halepense Pers.  イネ科 キビ亜科 ウシクサ連 モロコシ属
  モロコシといってもトウモロコシとはちがいます。トウモロコシは、ジュズダマと近いなかまになります。
 モロコシには護穎にのぎがあるものとないものがあります。のぎがあるものをセイバンモロコシ、ないものをヒメモロコシと呼んでいます。
 
 ヒメモロコシ
 学名  Sorghum halepense Pers. forma muticum (Hack.) Hubb.  イネ科 キビ亜科 ウシクサ連 モロコシ属
 ヒメモロコシは、姫といっても、1.8mにもなる大型のイネ科植物です。
 一時、牧草として使われていましたが、若い葉に青酸という毒がふくまれていたことから、家畜に被害が出て、今では悪者あつかいになっています。
 
 メリケンカルカヤ連の総は、長い柄とみじかい柄の2小穂から成り立っていますが、ヒメモロコシは、先端の総だけ長柄の小穂が2個ついているのです。
 無柄の黄色の小穂は両性で、長柄の赤い小穂は雄性です。
 
 外側の2枚の包穎は、どちらも黄色っぽい色をしています。
 表面にはうっすらと毛が生えています。
中にある小花の護穎は毛に変化しています。
 両性の小穂にはめしべがあり、柱頭を出しています。おしべもあり、3個の葯をつけています。
 
 ヒメモロコシの柱頭はブラシ状でむらさき色をしています。
 
 両生の小穂のつけねから長い柄を出し小さめの雄性の小穂がつきます。
 めしべがないのでほっそりしており、あまり厚みがありません。
 
 包穎(ほうえい)は厚みがあり光沢のある面をしています。のぎはありません。あっても小穂(しょうすい)の外に出ることはありません。
 両性花のような毛はないので、はっきりした5脈を見ることができます。
 長い柄には、長毛の生えているものと生えていないものがあります。
 
 おしべは葉が変化したものです。1枚の葉を丸めたような形であることが納得できます。
 おしべの数は、両性花と同じ3本です。
 おしべの下に見えるのは、雄性小穂の竜骨にトゲをもった包穎です。
 
 葉舌(ようぜつ)は、長い毛に変わっています。
 葉身(ようしん)の長さは60cmにもなる大きなものです。
 葉はオギに似ており、中央に太い葉脈が通っています。
 葉のへりはすべすべしているので、ススキのように手を切ることはありません。
 
 (かん)は直径1cm以下で、かなり太いのですが、タケのように堅くないので、もろく折れやすく、見かけだおしです。
 

 

  

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