第47回  ツユクサ科 ツユクサ属

ツユクサのひみつ

 ツユクサ
 学名 Commelina communis L.  中核単子葉植物 ツユクサ類 ツユクサ目 ツユクサ科 ツユクサ属

 梅雨のころによく見かける草本ですが、細かいところまで調べてみると、意外な発見に遭遇することでしょう。
   ツユクサの花は、スズムシが羽を広げたような形です。
 ちょっと見ると、花弁が2枚に見えますが、ほんとうは3枚です。
  大きい青い花弁が上に2枚、小さい白い花弁が下に1枚あります。      

 
 下の写真は、観察しやすいように、2枚の青い花弁とおしべをとりのぞいたものです。3枚のがく片と1枚の花弁が残りました。
 がくのはたらきは、主につぼみを包むことです。がんらい、つぼみを包むのは、包(包葉)の役目でした。
 しかし、しだいに外花被がその役目をもつようになり、がくに変化していくのです。
 ところが、ツユクサでは、ふたたび包葉が役目をもつようになったので、がくが不要になってくるのです。
 進化には、進んだりもどったりする大きな流れに関係のない進化もあるんです。
 
 ツユクサ科の中には、イボクサ属やムラサキツユクサ属のように、外花被が完全にがくになって、つぼみを包むものもあります。
 しかし、ツユクサ属は、がくがいちおう花弁を包んでいますが、退化が始まり、苞葉が本来の目的を持つようになりました。
 ツユクサ科は、さらに変異をつづけ、イグサ科やトウツルモドキ科に進化していきます。
 そして、イグサ科からはカヤツリグサ科が、トウツルモドキ科からはイネ科が誕生することになります。 
 
 カヤツリグサ科やイネ科の(えい)は、ツユクサの包葉から進化したのではないかと考えられます。  ツユクサ科の花被は、イネ科のりん皮としてわずかに残されます。
 
 包葉の中には、3つの花があります。
 これだけ見ても、この花が、いかに変わっているかということに気がつくと思います。変わってはいますが、いちおう総状花序です。
 一番下には雄花の()があります。ふつうは、柄だけで花はつきません。まれにつくことがありますが、それは雄花で、雌しべがありません。
 他の2つの花は、両性花です。雌花というのはありません。
 
 花被がしぼむとその下の子房がふくらみ始めます。
 この子房が果実になったものをさく果といいます。さく果というのは、熟すとたてにさけ、種子をはじき出す果実のことです。
 ツユクサ類の最大の特徴は、外見ではなく、胚乳にデンプン質がたくわえられることです。
 ツユクサ類以前の胚乳には、タンパク質と脂質がたくわえられていました。
 デンプンがたくわえられるようになったので、このなかまから、穀物など人類に有用な植物が数多く生まれることになります。
 
 ツユクサのおしべには不思議がいっぱいあります。
 1つの花に、おしべが3種類あります。花糸が白っぽく無色の長いおしべは2本あり、その葯は茶色です。
 花糸が青く短いおしべは3本あり、その葯は黄色で目立ちます。
 花糸の長さが中くらいのおしべが1本あります。その葯は、少し黄色の部分があります。
 花糸の色は、葯に近い方が青色で基部の方は白色です。花糸の長いものと短いものの中間の性質をもっていることになります。
 
 黄色の葯をもつ短いおしべは、花粉をつくらず、昆虫を呼びよせるはたらきだけを受け持ちます。このようなおしべを仮おしべと呼んでいます。
 花糸の長さが中くらいのおしべは、多少花粉をつくるようです。
 花糸の長いおしべは花粉をつくります。
 花は、およそ半日でしぼんでしまいます。しぼむとき、長いおしべと長いめしべが、くるくるっと巻かれて、そのとき自家受粉します。
 こうして、昆虫がこないときでも受粉できるのです。
 
 どんな花にでもいえることですが、アルビノといって、まれに色のない花が見つかります。
 これは、何らかの原因で色素がなくなったか、色素はあってもかくれてしまったものです。
 
 
 色がなくなったのは花弁だけではありません。
 仮おしべの黄色い葯も白くなっています。
 青みがかった花糸の色もとれています。
 長い2本のおしべと中くらいのおしべは、健在のようです。確認はしていませんが、どうやら花粉をつくることはできそうです。
 自家受粉すると、同じ遺伝子の組み合わせになりますから、その子孫は100%白花になります。
 
 ツユクサの葉の反対側には包葉がつき、花をもちます。
 包葉と葉は対生(たいせい)していますが、葉と葉は、たがいちがいですから互生(ごせい)になります。
 葉の基部は、刀の(さや)のように茎を取りまいています。これを葉鞘(ようしょう)と呼んでいます。
 葉鞘は、双子葉植物ではタデ科が有名です。
 ツユクサ科から将来イネ科に進化していきます。イネ科でも、この葉鞘の特徴を受け継ぐことになります。
 
 茎は、途中まで地をはうようにのびます。このような性質をほふく性といいます。
 土に接した茎の節から、新しい根(不定根(ふていこん))を出します。
 双子葉植物でもさし木のとき出る根と同じ根の種類です。
 双子葉植物の不定根は、その後主根側根に変化していきます。

 

 シマツユクサ
 学名 Commelina diffusa Burm. fil.  中核単子葉植物 ツユクサ類 ツユクサ目 ツユクサ科 ツユクサ属
 ツユクサ属には、ツユクサのほかに、ツユクサよりひとまわり大きなオオボウシバナやツユクサとまちがいやすいシマツユクサなどがあります。
 シマツユクサのツユクサと異なるところは、花弁が3枚とも青色をしていることです。ツユクサは2枚だけが青色でした。
 
 花は、ツユクサより小さいのですが、包葉は、逆に大きいのも特徴です。
 上の2枚の写真をくらべてみると一目瞭然です。

  


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