第50回  ナガバミズアオイ科 ホテイアオイ属

金魚鉢に浮かべるもっとも身近なミズアオイ科

 学名 Eichhornia crassipes (Mart.) Solms-Laub.  ツユクサ類 ツユクサ目 ナガバミズアオイ科 ホテイアオイ属
 ナガバミズアオイ科には、ミズアオイ属とホテイアオイ属の2つがあります。
 どちらも、いつ頃発生したのかくわしいことはわかりませんが、共通の祖先は、5,300万年前ごろですから、ミズアオイ科の中では比較的新しい属になりそうです。
 
 ホテイアオイのホテイは、七福神の中の布袋さまのことです。大きなおなかがトレードマークで、大きな袋をしょっています。ホテイアオイは、その大きなおなかに似ているのでしょうか。ちょっと変わった植物です。
 学名の種小名である crassipes は、太い足という意味です。西洋人は、このふくらみを太い足にたとえました。おなかにたとえた日本人とは、ものの見方のちがうところがおもしろいですね。 
 
 太い足の正体
 このふくらんだ部分は、ちょっとわかりにくいですが、葉柄(葉の柄の部分)がふくらんだものなのです。
 茎は、さらにその下にあり、みじかく、外から見ても、ちょっとわからないでしょう。
 ヘチマみたいにすきまだらけで、でも、そのおかげで水に浮くことができるのです。
 
 ホテイアオイは、水に浮かんでいます。しかし、浅いところでは、水底のドロに根づいてしまいます。
 そうなると、布袋様のおなかはなくなってしまうのです。浮く必要がなくなるからです。
 
 ホテイアオイの根
 左側の写真は、根の一部を広げてみたものです。
 ホテイアオイの根は水中で広がるので、メダカなど、魚が卵を産みつけるのにもってこいです。
 右側の写真は、根を拡大したものです。
 左の写真とはちがって、透明に近く、根の先は黒っぽくなっています。
 
 ホテイアオイの花序
 ホテイアオイの花は、ヒヤシンスのような感じです。
 せっかくきれいに咲いた花は、その日のうちにしぼんでしまいます。
 同じように、その日のうちにしぼんでしまう花にアサガオがあります。
 花の直径が40cmにもなるアメリカフヨウも、一日きりです。
 しかし、これらはつぎからつぎへと新しい花が咲くので、けっこう長い期間、花を楽しむことができます。
 
 ホテイアオイの花被
 ホテイアオイの花被片(かひへん)は、内側に3枚、外側に3枚、合計6枚あります。
 内花被のうち1枚は、オレンジ色(黄色)の()があり、そのまわりを青むらさきの斑がとりまいています。ロウソクのように見え、なかなかきれいなものです。
 斑というのは、マダラとかブチとかいった模様のことです。花被片をまとめて花被といいます。
 写真では、おしべが3本観察できます。
 
 ホテイアオイの花被のつけね
 つぎに、花被の基部を観察しましょう。
 ここにも腺毛(せんもう)がたくさん生えています。
 花被片は3枚ずつわかれているので、内側のものを内花被、外側のものを外花被とよんでいます。
 子房は見えませんから、子房下位です。
 
 ホテイアオイのおしべ
 長い3本のおしべを確認することができます。
 中央の白いのは、めしべの柱頭です。
 左の写真では、3本の長いおしべよりもめしべのほうがみじかいですが、逆にめしべの方が長い種類もあります。
 奥の方に小さなおしべが見えます。
 
 こんなところにも、小さなおしべがあったのです。まるでキノコみたいなおしべです。3本あります。
 これで、ホテイアオイのおしべは、全部で6本ということになります。
 おしべは、花粉をつくる(やく)とそれを支える花糸(かし)の2つの部分からなりたっています。
 長いほうの花糸は、むらさき色をしています。
 ホテイアオイのおしべの花糸には、カタツムリの目のような腺毛がたくさんついています。
 
 ホテイアオイのめしべ
 めしべの先を柱頭(ちゅうとう)といい、子房(しぼう)から柱頭までの間を花柱(かちゅう)といいます。
 ホテイアオイの柱頭は、もじゃもじゃしています。
 ミズアオイと同じように突起(とっき)がたくさんついています。
 突起からは粘液(ねんえき)が出て、花粉を(たく)みにつかまえます。
 しかし、せっかく受粉しても、ホテイアオイの胚珠(はいしゅ)は、めったに種子になることはありません。 
 
 ホテイアオイのふえ方
 ホテイアオイのふえかたは、株がどんどんわかれていくのです。
その繁殖のすごさは驚異的ともいえます。
 花がきれいだからと、池に入れてみたところ、数年で池をおおってしまったので、あわててとりのぞいた例もあります。

 


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