植物の歴史

 

 地球の誕生
 現在の科学では、今から46億年前に地球が誕生したとされています。
だれも見た人はいませんが、よくわかるものですね。
 原始の地球は、どろどろにとけていて、とても生物が生きていける環境ではありませんでした。                
 地球は、その後、だんだんと冷え固まり、蒸発した大量の水蒸気が冷やされて雲となり、来る日も来る日も大量の雨が降りつづきました。やがて、水は地表をおおうようになり、海になったのです。大気はというと、まだ酸素はなく、二酸化炭素でした。

 

 生物の出現
 そして、ようやく30億年前になって、海水の中に生命が誕生しました。
そのころの生物は、ウィルスやバクテリアのような微生物です。
 ある日、それらの微生物から、突然変異によって新しい生物が生まれました。突然変異というのは、DNAのコピーミスやDNAが放射線などによって変化してしまうことです。したがって親とはまったくちがう生物になったのです。
 どんな生物かというと、それは光合成をする生物なのです。光合成をすると酸素をはき出します。それ以前の生物にとって酸素は猛毒でした。この新しい生物の出現によって、古い生物はほとんど全滅してしまいました。
 そして、うれしいことに、光合成によって、二酸化炭素が減り、酸素がふえていったのです。 

 

 二酸化炭素が石灰岩に変身
 二酸化炭素が減った理由はほかにもあります。海水中に溶けた二酸化炭素をサンゴなどの生物が石灰質の(から)に変えていったのです。それらの殻が何百万年も積もり積もって石になりました。それが、現在コンクリートの材料として使われている石灰岩です。  

    

 陸上への進出
 6億年前、クラゲなどの単純な生物が現れました。
 植物は、海の中で()のなかまが栄えました。
 植物は、太陽の光を使って、自分で養分をつくります。このことを光合成といいます。海の中は太陽の光が深くまで届きません。植物は光を求めてしだいに陸上へ進出していきました。

 水中の植物と陸上の植物の境目に当たる植物がコケ植物です。コケ植物を経て、陸上で初めに栄えたのはシダ植物です。これが3億年前のことでした。シダ植物というと、ワラビやゼンマイなどがありますね。  

    

 胞子から種子へ
 藻類(そうるい)、コケ植物、シダ植物は、胞子またはそれに似たものでふえます。まだ、種子というすぐれたものはできていなかったのです。胞子は、たった1つの細胞でできています。だから、子孫を残したりふえたりするための役割分担ができません。
 1億年前になって、ようやく、種子でふえる植物、すなわち、花が咲く植物が誕生したのです。胞子でふえる植物には、花は咲きません。花は、種子をつくる器官なのです。種子は、2つ以上の細胞(多細胞)でできています。

 

 からだの役割分担

 微生物から進化して大きくなった植物は、はじめのころ、()のような単純な形をしていました。それが、しだいに役割分担をするようになり、形も変わってきました。

 @ 光合成をして養分をつくる。 → 
 A 種子をつくって子孫を残す。 → 
 B 身体を支える。       → 
 C 土の中から水を吸収する。  → 

 光合成というのは、葉緑体という工場の中で、空気中から取り入れた二酸化炭素と根から吸収した水とを材料にし、光のはたらきによって糖を生産することです。
 植物は、この糖を原料に、さらにデンプンなどの炭水化物やタンパク質のもとになるアミノ酸、脂肪をつくる脂肪酸とグリセリンなどいろいろな物質を合成します。
 現在科学の最先端をいく天才的な科学者がたばになってもできないことを、植物は、いともかんたんに行っているのです。すごいことですね。

   

 裸子植物から被子植物へ
 種子の中には次の命の「(はい)」というものがあります。この胚が成長しておとなの植物になるのです。
 胚ができるためには、胚のもとになる卵細胞が受精しなければなりません。
 え!?、植物にも卵があるのかって?
 はい、あるんですよ。卵細胞が受精することは、動物も植物も同じなのです。両方とも祖先は同じなのですから。

 雌しべの頭、柱頭に花粉がつくと、やがて、卵は受精します。受精した卵は、成長を始め、胚になります。受精についての詳細は をクリックしてください。
 卵が入っている部屋を胚珠(はいしゅ)といいます。これも、受精後、成長して種子と呼ばれるようになるのです。
 
 初めの種子植物は、胚珠がむき出しになっていました。傷つきやすいのが欠点でした。
 そこで、胚珠を保護するカバーのようなものをもつ植物が出てきたのです。これが被子(ひし)植物です。胚珠のまわりにあるカバーを子房(しぼう)といいます。子房というカバーに守られた被子植物は、すぐれものですね。
 子房が成長すると、果実(かじつ)になります。くだものとは、ちょっとちがうかな。みなさんがよく知っている、サヤエンドウの「さや」は、じつは、エンドウの種子を守っている果実なのです。
 リンゴの場合は、実の芯の部分が果実で、食べる部分は花托という部分が肥大したものなのです。

 それまでの、子房のない植物を裸子(らし)植物といいます。カバーがない(はだか)ん坊という意味です。裸子植物には、スギ、イチョウ、ソテツなどがあります。

 

 原始的被子植物と単子葉植物・真双子葉植物
原始的被子植物 単子葉植物 真双子葉植物
ドクダミ エノコログサ ノゲシ
 初期の被子植物には、花被(かひ)はがく片だけで花弁がありませんでした。最初に出てくる葉、すなわち子葉(しよう)が2枚あったので双子葉植物といいます。
 その後、このなかまから子葉が1枚のものが現れました。これが単子葉植物です。被子植物の22%になります。
 双子葉植物の中には花被が二重になり、内花被が花冠になったものがあります。タデ科のように花冠のないものもありますが、めしべや花粉の進化などにより大進歩をなしとげました。これが真双子葉植物で、被子植物のなんと75%をしめています。
 残りのわずか3%が原始的被子植物として生き残っています。

 

 合弁花と離弁花
   真正双子葉植物には、花冠のちがいにより、さらに2つの種類に分けることができます。
 ハコベのように1枚1枚はなれているものを離弁花といい、ミゾソバのように花弁がなく、がく片が花弁の代理をしているものも離弁花といいます。
 それに対して、アサガオのように花弁がつながっているものや、オオイヌノフグリのように花弁がはなれているように見えても、花弁の根元がつながっているものを合弁花といいます。
  離弁花 → 合弁花 のように進化してきました。
 右上の写真のミゾソバは、花被がつながっていますが、花弁ではないので合弁花とはいいません。
 花被ははなれているよりつながっている方が進化しているから、ミゾソバは離弁花の中でも進化している方なのでしょう。進化から取り残されたものでも、それなりに進化はしているのです。
 現在見られる植物は、古い種族でも、進化をつづけ現在に至っているのです。 
離弁花







合 弁 花












     

 







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