ワサビ(葉ワサビ) |
中核真双子葉植物 アオイ群 アブラナ目 アブラナ科 ワサビ属 (APG分類体系) |
学名 Wasabia japonica (Miq.) Matsum. |
静岡県は、茶、みかんとともに、ワサビの産地でもあります。 静岡市の安倍川を梅ヶ島のほうへ上っていくと支流があり、その先の有東木というところがワサビ栽培の発祥地とされています。 |
ワサビは山地の渓流でつくられます。 川の中流や下流ではつくることができません。きれいな流水でしか育ちません。 |
近所のスーパーでワサビの花を売っていました。花ワサビとか葉ワサビとして売られているものです。 根をおろして食べる本ワサビは、清流でつくられますが、根本的には同じものです。 畑でつくると、写真のような花ワサビ(葉ワサビ)になります。これは、葉や茎を食べます。 セイヨウワサビというのは、ワサビダイコンとかホースラディッシュとかよばれているもので、同じアブラナ科でもちがう種類です。 |
どちらにしても、アブラナ科のなかまですから、花のつくりは似ていると思いますが、葉の形には大きなちがいがあるでしょう。 アブラナ科には食用になるものがとても多い。 カラシをつくるカラシナ、野菜のキャベツ、ダイコン、カブ、はくさい、ブロッコリー、カリフラワー、小松菜などなど、たくさんあります。 ちなみに、レタスはキク科ですよ。 |
花序は、アブラナ科の特徴である総状花序です。 花柄を持った花が下から順番に咲いていくタイプです。 |
こちらはアブラナの花序です。 ワサビとは色がちがうけれど、ほとんど同じです。 |
花弁は4枚が十字形についています。 アブラナやイヌガラシとちがい、花弁の色は白色です。 めしべの子房は棒状です。 おしべは6本、 |
花冠の外側に緑色のがくがあります。 がく片は花弁に対して互生についています。 この場合の互生というのは、花弁と花弁の間に位置するということです。 |
がく片をアップしてみます。 アブラナ属の深いボート形に対してワサビ属は浅く、 |
がくと花弁を取りのぞいてみます。 おしべの花糸のつけ根に緑色のかたまりがあります。これは蜜腺といって、蜜を分泌するところです。 からいワサビでも、蜜を出すのですね。 |
ワサビの花冠の中をのぞいてみます。 中央にめしべが見えます。 白い棒状に見えるところが花柱、その下の緑色に見えるところが子房です。 めしべのまわりには、おしべが取りかこんでいます。 |
おしべを取りだしてみます。 白っぽい部分を 葯は、2つの葯室でできています。 葯室は、花粉をつくるところです。 |
めしべを取りだしてみます。 太い部分は子房で、中に その先の少し細くなったところが 花柱の先端を |
めしべの柱頭です。 めしべの先端部ですね。 ここで花粉をとらえるのです。 花粉をつかまえやすいように、小さな突起が出ています。ここからねばねばした液が出て花粉をくっつけるのです。 |
おしべの先端は 葯では花粉がつくられ、この中に花粉をためます。 葯は、二つ一組でできていて、一つひとつを葯室といいます。 ふつう、葯は二つの葯室が平行に並んでいます。 葯室の背中が割れて、花粉が出てきます。 |
葯を上から見た写真です。 二つの葯室が並んで、葯室の端のほうから割れて、花粉が出てきています。 |
スーパーで買った葉ワサビなので、根生葉がついていません。 写真の葉は、茎についた葉です。 ワサビの根生葉は葵の葉に似たハート形です。(一番上の写真)ワサビを漢字で山葵と書くのも納得です。 ワサビダイコンの根生葉は、羽状分裂葉で、やはりダイコンに近い形をしているからワサビダイコンというのでしょう。 ワサビの茎葉は、根生葉より細長いハート形です。 ワサビダイコンの茎葉は、もっと幅が狭く、ハート形にはなりません。 |
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ワサビダイコンは、西洋ワサビとか、ホースラディッシュとかよばれているものです。 安価なチューブ入りの練りワサビは、たいていがこのワサビダイコンを着色したものです。本ワサビ入りというのは、ワサビをほんの少し入れてあるものです。高級品はちがいますよ。 |
葉の縁を拡大してみます。 波形の 鋸歯の先端にトゲ状の突起がある葉は、少なくありません。 害虫よけなのでしょうか。 アブラナ科にはシニグリンという物質が共通してあります。酸素にふれると辛味を出します。 共生関係にあるモンシロチョウはこのにおいにひかれて卵を産みつけます。それ以外の昆虫は近よりません。 |