葉について

 

 単子葉植物と双子葉植物

 植物のなかま分けのし方はいろいろありますが、植物学的には第1にふえ方をあげることができます。すなわち、種子でふえるものと、そうでないもの(胞子など)になります。  種子でふえるものは花が咲きます。そうでないものは花が咲きません。種子でふえるものをさらに分けると、子葉の数になります。 ここでは、その子葉について学習します。

 子葉の数 

 種子でふえるものをさらに見ていくと、種子の中に初めから入っている葉を子葉(しよう)といいますが、これが1枚のものと2枚のものとに分けることができます。
 子葉が1枚のものを単子葉(たんしよう)植物、2枚のものを双子葉(そうしよう)植物といいます。
 双子葉植物の中で飛躍的に進化したものを真双子葉植物といい、取り残されたものを原始的被子(ひし)植物とよんでいます。

 双子葉植物は、発芽するときに2枚の子葉が出てきます。まるい種子が二つに割れて双葉の子葉になるのです。

 単子葉植物の方は、発芽しても種子の中に入っていた子葉は出てこないのがほとんどです。最初に出てくるのは1枚であっても、それは本葉(ほんよう)子葉(しよう)ではありません。

 

 葉脈の模様 

単子葉植物 双子葉植物
 葉脈(ようみゃく)というのは、葉のすじの模様のことをいいます。葉脈も、単子葉植物と双子葉植物とでは、特徴にちがいがあります。
 単子葉植物の葉は、平行脈といわれ、葉脈(葉のすじ)が平行で、あまり枝分かれしていません。しかし、単に平行と考えてはいけません。上の左から4つとも、みな単子葉植物のものです。
 Aはイネ、Bはカンナ、Cはヤマノイモ、Dはユリ。いろいろありますね。
 双子葉植物の葉は、網状脈(もうじょうみゃく)といわれ、葉脈が(あみ)の目のように複雑になっています。
 ちょっと見ただけだと、どちらとも判断しにくいものもありますが、なれてくると、だいたいわかるようになります。

 葉の各部分の名称 

 左の図は、ごく一般的な葉の図です。平べったい部分を葉身(ようしんく)といいます。
 葉身に見えるすじを葉脈(ようみゃく)といいます。くわしくは、
  その下の(ぼう)のようなものが葉柄(ようへい)です。葉の一部が変化したもので、茎ではありませんよ。
  一番下に見える小さい葉を托葉(たくよう)といいます。托葉のない植物の方が多いので、調べるときの目印になります。中には葉身より大きな托葉がある植物もあります。
 托葉や葉柄は、茎の(ふし)というところから出てきます。ちなみに花の芽も節から出ます。どこからでも出てくるというわけではないのです。
 葉身のまわりのギザギザを鋸歯(きょし)といいます。
 鋸はノコギリという文字です。鋸の歯のようだから鋸歯というのです。

 単葉と複葉 

 ふつう私たちが考える葉は、左の単葉(たんよう)です。複葉(ふくよう)というのは、本来1枚の葉であるものが進化(変化)して数枚の葉に分かれたものをいいます。

 左の図を見てください。一番左の葉が右へ右へと進化していくようすがおわかりかと思います。

   それでは、単葉が枝に何枚もついているのと、複葉と、どのように見分ければよいのでしょうか。
   それは、意外と簡単なことなのです。

 単葉と複葉の見分け方 

 ふつう葉は、茎や枝にぐるぐるまわるようにつくのです。
 左の図は、3種類のまわり方を表しています。
 対生(たいせい)は、1カ所から2枚の葉が向き合ってつきます。

 互生(ごせい)は、1カ所に1枚しかつきません。そして、互いちがいにつくので互生といいます。
 輪生(りんせい)は、1カ所に3枚以上の葉がつきます。()のようにとりつくので輪生といいます。

    葉がたくさんついていても、単葉の場合は茎をとりまくように立体的についていることが
  わかりましたね。
   これに対して複葉の場合は、もともと1枚の葉ですから、すべての葉が平面的についてい
  ます。紙に描いたのを切りぬいたようなつき方です。

 複葉の種類 

 みなさんのよくご存じのクローバー(シロツメクサ)の葉は、3出複葉です。たまに四つ葉のクロ−バーがありますが、輪生とはちがいます。
3出
複葉
2回3出複葉 2回羽状複葉  


 マメ科は複葉ですから、枝豆もそら豆もエンドウ豆も右の図のような複葉をしています。
 公園の棚にぶら下がるように咲く紫の花、フジも複葉です。

奇数羽状複葉 偶数羽状複葉

 単葉から複葉へ 

 右の3種類の葉は、単葉から複葉へ移り変わっていったようすを示しています。
 タネツケバナは、ちょっと見ると複葉に見えますが、単葉なのです。
 小葉のつけ根が節になっていれば複葉です。
 葉の中で葉脈が分かれるように、節になっていなければ単葉と見なされます。
タンポポ タネツケバナ カラスノエンドウ
羽状深裂葉 羽状複生葉 羽状複葉
  

 掌状複葉と鳥足状複葉 

 左の2つの葉はよく似ているでしょう。ところが、よくみると、下の2枚の小さい葉のつき方がちがうのです。
 左の葉は掌状複葉(しょうじょうふくよう)とよばれ、1カ所から5枚の小葉が出ています。
 これに対して、右の葉は、鳥足状(ちょうそくじょう)複葉とよばれています。アマチャヅルやヤブガラシなど、ごく限られた種類にしか見られません。

掌状複葉
手のひら状複葉
 鳥足状複葉

 掌状分裂葉 

 右のテングのうちわのような葉はヤツデです。上の2つと似ていますが、ちがいはおわかりでしょうか。
 これは複葉ではありません。タンポポの葉と同じように、複葉にはなりきれず、深く()けた状態になっています。このような葉を分裂葉(ぶんれつよう)といい、ヤツデのような形のものは、手のひら状だから、掌状分裂葉(しょうじょうぶんれつよう)といいます。

  

  葉が茎にどのようについているかという考え方は、おおざっぱに分けて、二通りほどあります。

 葉のつき方@  

 単葉と複葉の項目であげた、互生・対生・輪生のように、茎のまわりをらせん状にとりまくようなつき方です。
ロゼット 根生
 

 基本的には、この3種類なのですが、タンポポのようなロゼット型も、ヒメムカシヨモギのような根生も見られます。 ロゼット型は、茎が極端に短く、本当は互生なのに1カ所から放射状に出ているように見えるのです。根生は、秋に発芽した植物が寒い冬をロゼット状で過ごし、春になってから成長する優れものなのです。

 葉のつき方A  

  つぎに、1枚の葉が茎にどのようについているのかという考え方です。

葉柄あり 葉柄なし 抱茎型 突き抜け型 突き抜け型 たて着型 ()状型
 これなども、なかなか特徴があるので、@とともに植物の検索(名前を調べること)するときの目安になります。いつも花が咲いているとは限りませんからね。

 托葉のいろいろ  

 托葉とは、葉柄のつけ根にある葉の形をしたものです。

 托葉のない植物の方が多いので、検索するときの目印になります。
 左図のように筒状のものは、タデ科に多いのですが、同じタデ科でも右図のように中央上のお皿のような変わった形のものもあります。これはイシミカワです。
中には、托葉の方が本葉より大きいものもあります。
上の写真はヤブガラシの托葉です 上の写真はイシミカワの托葉です

 



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