第24回 イグサ科 スズメノヤリ属
イネ科のスズメノカタビラとは、従姉妹の関係
学名 Luzula capitata (Miq.) Miq. ツユクサ類 イネ目 イグサ科 スズメノヤリ属 | ||
イグサ科の中のもう1つの属はスズメノヤリ属です。 |
花序をアップしてみます。イグサ属の花のように目だたない6枚の花被片があります。 イグサ属に比べると、花序は丸くまとまっています。 イネ科やカヤツリグサ科にはこのような イグサ科の花被は、 したがって、きれいな色やあまい蜜の必要はないのです。 |
花のつくり(スズメノヤリの小花) |
たしかに6枚の花被片があります。 花弁状ではなく、がく片のようなはたらきをしています。 おしべの数は、6本です。 写真のおしべは、すでに3本の 花被の内側から これらは、ユリ科の特徴でもあります。 すなわち、ユリ科 → イグサ科という進化を見ることができます。もちろん、その過程には、いくつかの科が入りこむでしょう。 |
めしべ先熟花 |
上の写真は、一目でわかるおしべの葯が見えます。 左の写真は、 花被が開く前に成熟しためしべの柱頭がつきだし、風に運ばれた花粉を受けとります。 その後、花被が開いて成熟したおしべの葯が花粉をとばします。 このような花をめしべ これに対して |
スズメノヤリの花被片 |
スズメノヤリの花被片を1枚はがしました。 これだけ見ると、カヤツリグサ科のりん片やイネ科の これも、虫媒花のユリ科から風媒花のカヤツリグサ科に進化する途中のすがたといえましょう。 |
葯のつきかたは底着葯 |
おしべの おしべは、 ユリ科の 丁字着葯というのは、葯と花糸のつきかたが丁字形になっているものをさします。 葯は、2つの葯室が背中合わせについています。 背中の接着しているところを |
葯のさけ方は縦裂葯 |
底着葯というのは、葯の底に花糸がついているものをさします。 葯はたてに このようなさけ方の葯を |
スズメノヤリの花粉 |
花粉には、オスのDNAが入っています。 DNAは2つ1組になっており、そのうちの1つが花粉になります。 すなわち、DNAの半分を与えることになります。このことを減数分裂といいます。 顕微鏡で見ると、左の写真のように宝石と見まがうものが少なくありません。 双眼実体顕微鏡で見ると立体的に見えるから、とてもきれいです。 |
スズメノヤリのめしべ |
めしべのつくりは、単子葉植物も双子葉植物もほとんど同じです。 これは、被子植物の祖先が1つのものであるという証拠になります。 被子植物の特徴は、種子が子房の中に守られていることです。 子房の中には胚珠がつく 単子葉植物の胎座は、どれも |
柱頭は花粉をつかまえるところです。 大切な子房を昆虫から守るために、子房からなるべく離れたところで花粉をつかまえるように、植物は花柱を長くのばす進化をしてきました。 風媒花になっても、花柱が長い方が花粉をとらえやすいので、この スズメノヤリ属の花柱は、先端が3つの柱頭に分かれています。 |
柱頭を拡大します。 ねじれているようすが確認できます。 |
スズメノヤリの葉 |
大部分の葉は、 葉のようすは、同じスズメの名前がついた、イネ科のスズメノカタビラやスズメノテッポウとよく似ています。 花序の下にある2枚の葉は、 カヤツリグサの包葉は3枚で、茎の断面も△だから、より3数性が強く現れています。 イグサ科はそれほど3数性が強く出ていませんが、カヤツリグサ科への進化がうかがえます。 根生以外に、茎からでる葉もあります。 |
スズメノヤリの葉の先に近いほうには、長めの毛が生えています。 もっと先の方は、茶色になっています。 さわってみるとわかりますが、ここは、かたくなっています。 これは、ひじょうに大きな特徴ですから、見分けるときの決め手になるでしょう。 他のほとんどの科の葉には、このような特徴はありません。 |