ウメ

 中核真双子葉植物 バラ類 バラ目 バラ科 サクラ属 (APG分類体系)

 学名  Prunus mume (Sieb.) Sieb. et Zucc.
 2月になると梅が咲き始めます。
 春の訪れを示す花です。
 ウメは、バラ科のなかまです。バラ科には、ウメのほかに、サクラ、アーモンド、モモ、スモモ、アンズ、サクランボ、ナシ、ボケ、ビワ、リンゴ、イチゴ、キイチゴ、ヤマブキ、キンミズヒキなどたくさんあります。
 果物が多いですね。
 
 バラの花は、もともとは5枚の花弁なのですが、品種改良が盛んに行われ、多くの花弁をもつものがあります。
 写真のウメも、花弁が多い種類です。
 ウメは、枝が茂りやすく、まめに剪定をしないと、すぐにボサボサになってしまいます。
 
 花を1つとってみました。八重の花冠です。
 おしべが多いことに気づくと思います。
 バラ科の特徴ですね。
 このおしべを花弁に変化させたものが八重の品種ということになります。
 おしべも、花弁も花葉(かよう)から進化したものですから、もとは同じものなのです。
 
 おしべが多すぎてめしべがよく見えませんが、中央に1本あります。
 
 それにしてもおしべの数は半端(はんぱ)ではありません。
 おしべは(おす)生殖細胞(せいしょくさいぼう)をつくるところです。
 すなわち、花粉をつくるのです。
 白い花糸(かし)の頭にある葯で花粉をつくります。
 
 おしべのつけ根が気になります。
 黄色っぽいところは花床(かしょう)といい、ここからおしべが出ているようです。
 ウメやモモは、子房がふくらんで果実になり、そこを食べますが、リンゴやナシなどは、花床が子房を包み込んで、花床がふくらみ、そこを食べることになります。
 同じバラ科でも、果肉に発達する部分が異なります。
 
 おしべを観察します。
 白いところが花糸(かし)で、黄色いところが(やく)です。
 葯は、2つの葯室で成り立っています。
 葯室で花粉がつくられます。
 花粉の中では精細胞がつくられます。
 精細胞は、(おす)の生殖細胞です。
 花粉がめしべの柱頭(ちゅうとう)につくと、花粉管がのびて、その中を精細胞が流れていきます。精細胞は途中で2個に分裂して、胚珠(はいしゅ)に到達し、2つの受精が行われます。
 
 葯を裏から見てみます。
 2つの葯室がつながっている部分を葯隔(やくかく)といいます。
 そこに花糸の先端がついています。
 葯隔は、花糸の先端が変化したものだといえます。
 
 梅のめしべです。
 毛が生えているところが子房(しぼう)で、そこから花柱(かちゅう)がのび、先端は柱頭(ちゅうとう)になっています。
 
 柱頭は、花粉を受けるところです。
 ここから粘液が出て花粉をとらえます。
 表面がデコボコの突起(とっき)状になっているのも、花粉をとらえるのに役立っています。
 ウメの柱頭の形はわかりにくいので、いろいろな角度から観察します。
 
 柱頭の形は、どら焼きを2つ折りにしたようなジャパニーズワッフルみたいな感じです。
 
 
 ウメのめしべは、1枚の花葉が2つ折りになってできています。
 花葉というのは、花に変化する枝(シュート)の葉のことです。外側の葉から、苞葉、がく片、花弁、おしべ、めしべになります。
 めしべになる花葉を心皮(しんぴ)といいます。
 ウメは、1枚の心皮がめしべに変化したものです。
 同じバラ科でも、リンゴなどは5枚の心皮からなるめしべをもっています。
 
 ウメの花を外側(裏)から見たものです。
 赤い部分はがくです。
 花弁はおしべが変化して八重になることもありますが、がくは5枚ですね。
 
 1枚の花弁を観察します。
 葉脈のようなすじを見ることができます。
 葉脈と同じように、このすじは水を通す管になっています。
 花弁も花葉から進化したことがわかります。
 このすじの中に水が行きわたることによって花弁が開くのです。
 動物でいうと、昆虫のチョウの羽も同じことがいえます。
 さなぎから成虫になるときに、羽のすじの中を水(体液)が行きわたり、羽がぴーんと広がるのです。
 
 がくの外側についているりん片状のものは、苞葉(ほうよう)です。
 これも花葉(かよう)のなれの果てで、花芽が小さいときつぼみを包んでいます。
 葉の芽と基本的には同じものです。
 たいていの花は、苞葉は退化して見あたらないことが多いです。
 
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